2008年9月24日水曜日

ブラックサンデーを好機に

 去る9/14(日)に米連邦破産法第11条(Chapter11)の適用を申請するカタチで、米証券大手のリーマン・ブラザーズが経営破綻に到ったコトを機に、世界各地の株式市場は大幅に下落しました。これを一部で「ブラックサンデー」と呼んでいます。サブプライム問題やCDS(倒産補償証券)問題による金融不安に加え、米金融当局の施策に対する不安~ソレより以前の3月に資金供与で救済されたベア・スターンズが救済されてリーマンが救済されないコトの不整合に対するモノだと思いますが~が、ソの大きな一因と言えるでしょう。ヒトによっては、「証券最大手のゴールドマン・サックスですら、安全とは言えない」と仰ってましたネ。
 続いて経営危機が表面化した保険大手のAIGに対する公的資金注入による救済や、更に発表された不良資産買取機関の創設・MMF資金保護・金融株の空売り禁止や各国中央銀行を通じたドル資金供与といった安定化策によって、市場のショックはとりあえず一段落つき、安心感が広まっているようです。とはいえ、不安感が拭いきれたワケではありません。今回生き延びたAIGだって、FRBからの融資を返済せねばならないワケで、危機を完全に脱してはいないのです。

 ワタクシ個人的にも、今回の件では大きくマイナスの影響を受けます。株式資産が目減りしたのは、長期保有で考えているのでまだイイのですが、再就職活動がより一層、厳しいモノになりそうです。
 少し前にメディア系アナリスト会社の採用で若モノとの競合に負けてしまってがっくりキているのですが、そうした面白そうな案件は更に細りそうです。
 金融機関本体の採用は、なおさら狭き門になるでしょう。ココにリーマンからあぶれたヒト達が入ってくるワケで… orz

 ともあれそうした環境下、日本企業にとってこの9月中間決算やソレを含む通期決算(2009年3月期)は、そうとう厳しいモノになりそうです。
 金融不安から実体経済への影響は避けられず、先進国を中心に景気が減退する中、本業の業績が悪化しつつあります。
 更に今回は、これまで以上に株安が企業に影響を及ぼします。2000年前後には、金融機関を中心とした株式持合いの解消に伴って、企業による株式保有は減少しました。しかしその後の景気回復期には、企業による株式保有が増加しています。2007年度には金額ベースでは減少していますが、その間一貫して、企業は株式を買い越しています。その後もソの傾向は続いています。2008年度入りした4月こそ若干の売り越しでしたが、5月以降は再度、買い越しの状況が続いています。M&Aの増加に伴って「買収防衛策」が話題になるようになったのが、2004年以降のハナシです。企業による株式保有の増加とソレが時期的にリンクしているコトから、買収防衛策の一環としての株式持合いが増えているであろうコトが推測されます。こうして積み上がった保有株式の評価損が、企業業績の足を引っ張るコトになります。

 ブラックサンデーに先立つ6月頃から、日経平均は下げ基調でした。金融不安の中で企業の業績悪化を織り込む動きだったのでしょう。ただ、9/19(金)に9月中間決算予想の大幅下方修正を発表した東芝の株価が、9/22(月)において日経平均を超えるペースで上昇したことから、既にかなりの部分が織り込み済みである可能性は見えてきたと言えるでしょう。

 とはいえ、本格的な市場回復は、売買の主役である外人や個人が買い越しに転じてからというコトになるでしょう。
 そのうち個人は昨年(2007年)以降、売り越しを続け、その分を現預金として積み上げています。また、ネット証券の新規口座の増加が、そのペースを落としつつあるとはいえ、続いています。一部では「証券会社への個人投資家の問合せが増えている」との報道もありました(先週あたりのWBSか報道ステーションだったような…)。個人が買い出動するモチベーションは、高まりつつあるのではないでしょうか。悪材料出尽くしなどで株価に底入れの兆しが見えてくれば、市場に個人の資金が戻る可能性は、充分にあるでしょう。とはいえ、実際に動き出すのは、もうチョっと先になるかな?

 足元の業績悪化が危惧される一方で、世界的な株安が日本企業にチャンスとなる可能性もあります。
 1980年代末のバブル崩壊以後、銀行による貸し渋りに対応するため、日本企業は銀行に頼らない経営を志向してきました。借入金を返済しつつ、内部留保を積み上げてきました。特に2000年のITバブル崩壊以後、その傾向は強くなっています。内部留保が積み上がった企業はM&Aのターゲットになりがちなのですが、これに対しては、上記の株式持合いや各種の買収防衛策を採用して対応しました。この間、人件費削減等による収益力向上の一方で役員報酬を大幅増額する企業もあって、ガバナンス的にどぉよ?と思うトコロもありますが、結果として、企業の経営基盤はかなり安定化したと言えるでしょう。
 この積み上がった内部留保の有効利用が、次のステージにおける日本企業の課題となるでしょう。割安となった海外企業を対象としたM&Aは、有効な成長策となりえるでしょう。既に金融機関は、そうした動きに出ています。
 日本企業には、今回の危機をむしろ好機として捉え、成長に向けた戦略を考えて欲しいと思います。

2008年9月15日月曜日

ゲームの、理論。

 前々回のエントリで、若者に経営戦略論を教えていたトキの小ネタに触れましたが、ツイでですので、今回は本ネタを紹介します。対象となる企業は、スクウェア・エニックス(以下「同社」)です。

 同社のビジネスのカテゴリーは、家庭用ゲーム専用機向けゲーム、いわゆる「コンシューマゲーム」用ソフトウェアの分野です。
 産業としてのゲームは大きく、ゲームセンター向けの業務用、いわゆる「アーケードゲーム」と家庭用に分かれます。家庭用ゲームソフトはPC向けとゲーム専用機向けがあるのですが、日本では作品数・販売額共に後者が圧倒的に多く、「ゲームソフト」と言った場合、その多くがコンシューマゲーム用ソフトのコトを指します。

 同社は、旧スクウェアと旧エニックスの合併によって成立しました。スクウェアとエニックスの両社は、コンシューマゲームソフトの中でも、ロールプレイングゲーム(RPG)分野で、それぞれ「ファイナルファンタジー(FF)」シリーズと「ドラゴンクエスト(DQ)」シリーズという、他の類似商品を大きく凌ぐ看板商品を持つ、トップベンダーでした。任天堂のファミリーコンピュータから始まった家庭用ゲーム専用機の普及に伴い、両社は事業規模を拡大させてきました。

 状況が変わったのは、1990年代終盤です。
 1997年をピークに、拡大を続けてきた国内のコンシューマゲームソフト市場が、縮小に転じました。インターネットや携帯電話の普及に伴う余暇時間のうちゲームに割く割合の減少、少子化の影響、シリーズ長期化に伴う陳腐化等々、それには多くの要因が影響していたと考えられます。
 更に、両社自身の経営戦略の失敗が重なりました。
 スクウェアはCGアニメ映画「FINAL FANTASY」(2001年公開)に多大な予算(制作費約170億円)を割きましたが、興行成績は惨憺たる結果(日米合計約50億円)に終わり、大きな損失を蒙る結果となりました。損失自体はソニーコンピュータエンターテインメント(SCE)による増資でカバーしたのですが、そのコトはプラットフォーム選択の幅を狭める、戦略上の制限要因と言えるでしょう。プレイステーションの供給元であるSCEが大株主なのに、任天堂やセガ(当時)のゲーム機向けソフトは、出しづらいですょネ。スクウェアとしては、その制限を外したいモチベーションがあったと考えられます。
 また、それに先立つ1999~2000年には、商品戦略の問題から、有力クリエータの退社が相次ぎました。
 更に、2002年3月期には、続く市場縮小による販売量減少を受けて、販売子会社であったデジキューブの株式の一部を売却して持分法適用会社としたため、売上計上が減少しました。その後デジキューブは、2003年11月に破産してしまいました。
 一方エニックスは、海外販売を軌道に乗せることができない状態が続いていました。国内とは異なり、海外のゲーム市場は欧米を中心に成長を続けていたのですが、その恩恵を受けるコトができずにいました。
 また、主力商品であるDQシリーズの新作リリースが2~3年に1回であった上、DQに続く看板タイトルを生み出せなかったことから、業績が不安定でした。

 更に国内市場の縮小が進む環境下、2003年4月1日付けで両社は合併し、同社が成立することになりました(2002年11月26日発表)。
 カテゴリートップクラスの企業間におけるM&Aは、伸びていた市場が縮小に転じたトキの典型的な対応策です。守りのM&Aと言ってよいでしょう。最近でも、携帯電話販売の国内1位と2位(三井物産系のテレパークと三菱商事・住友商事系のエムエス・コミュニケーションズ)が2008年10月1日付けの合併を予定していますネ。
 スクウェアとエニックスはいずれも、コンシューマゲーム用RPGではダントツのトップクラス商品を持つ、最大の競合相手であったワケです。その両社の合併は、競争の緩和をもたらします。競合シリーズの商品リリース時期をずらすコトなどで、競争による販売機会の逸失を排除できます。合併以前は、FFシリーズとDQシリーズの発売が重なり、一方が売上を伸ばせなかったコトがありましたが、合併でそうした状況は避けられます。合併後の同社は、コンシューマゲーム用RPG分野ではオンリー・ワンと言ってよい立場になりました。

 更に2005年9月、同社はタイトーをTOBで買収し、子会社化しました(2005/8/22 TOB発表)。
 タイトーは、アーケードゲーム機の開発・製造・販売と、ゲームセンター運営が主たる業務です。同社とタイトーとは事業ドメインが異なる企業であり、多角化のカタチを取った、攻めのM&Aと言えるでしょう。
 もちろんトータルの事業規模を大きくするためだけではなく、シナジーも期待されていたことでしょう。2006年3月期分のアニュアル・レポートでは「多様なコンテンツ・サービスの提供手段を確保」したとの記載があるコトから、コンテンツの出口の多様化を志向したものであったと思われます。具体的には、同社製ソフトのゲームセンター版提供とか、同社が保有する漫画・アニメコンテンツのキャラクターを使ったアーケードゲームの開発とかいったトコロでしょうか。

 同社による買収以前、タイトーの筆頭株主は、電子部品メーカーの京セラでした。
 京セラにとってタイトーは、自社製電子部品のファーストユーザーとしての意味合いがあったと思われます。電機業界の総合化は、SETメーカーが系列下にPARTSメーカーを持つ例が多かったのですが、これはその逆に、PARTSメーカーがSETメーカーを傘下に置いた例と言えるでしょう。しかし、電機業界における総合化の意味が薄れてきました。この例では、アーケードゲームの変遷が、京セラがタイトーを保有する意味を低減させました。かつてのゲームでは、新機種導入時に機器を全て入れ替えており、多数の電子部品がその度に利用されました。その後、モジュール化が進んで新機種導入時に交換される電子部品の数が減り、更にアーケードゲーム機の中で、クレーンゲーム等の電子部品点数が少ないモノが増えてきました。京セラがタイトーを売るコトを決意したのは、こうした変化が背景にあったと考えられます。

 売られる側のタイトーも、危機的状況にありました。アーケードゲームは、グラフィック精度向上やマップ拡大等の既存ユーザーを向いた進化を続けてきたコンシューマゲームと異なり、シューティング→アクション→対戦格闘→3D対戦格闘→音ゲー→クレーンゲーム・メダルゲーム→カードゲームと、新機軸の導入を続けることで継続的に新規顧客を取り込んできました。その結果、ゲームセンター市場は安定的に推移してきました。タイトーはその中で大手の一角として一定の存在感を示していましたが、「電車でGO!」(1997年)以降のヒット作を生み出すコトができない上、カードゲームへの主力機器移行に出遅れました。売上増は維持していたものの利益が急減し、大きな変化をもたらす、なにがしかの対策が求められる状況にありました。

 同社によるタイトー買収は、買う側・売る側・売られる対象の三者にとって動機があった「イイM&A」の代表的事例として、私は評価しています(あくまでも買収時点において、ですけどネ)。

 こうして短期間の間に同社は、守りのM&Aと攻めのM&Aの両方を行いました。投資銀行的には、成長を目指した攻めのM&Aを高く評価したいのが心情なのですが(次のビジネス=ファイナンスに繋がりますしw)、市場が必ずしもそう見てくれるとは限りません。
 スクウェアとエニックスの合併時には、両社の株価が上昇しました。
 一方、同社がタイトー買収を発表した際には、同社の株価が一時的に上昇したものの、すぐ戻してしまいましたし、タイトー株はTOB価格(1株18万1,100円)に合わせただけでした。後者については、投資家の注目から外れていて、取引自体が細っていたという要因もありますけどネ。
 こうした状況から、市場は、競争緩和による効果は評価しても、多角化の効果が短期的に出る期待はできないと判断したと考えられます。

 結果としては、同社はタイトーというリソースを未だ充分活用できないままです。投資家のみなさん、大正解w 
 カラオケ事業からの撤退や、不採算店舗の閉鎖といったリストラ策で、2008年3月期にはタイトーを引き継いだAM等事業を黒字化しましたが、シナジーを出すには到っていません。
 正直、両社のリソース共用の面では、もうチョっとヤリようはあるんでないの?とか思ったりします。例えば、タクティクスオウガのカードゲーム版とか、同社の漫画・アニメのキャラクターを使ったFPSとか、逆にダライアスあたりをお題にとった漫画・アニメとか、いくらでもアイディアは出るでしょうに。また、直近では若年層のゲームセンター離れが進み、新たな客寄せの手段が求められている状況下、コンシューマゲームや携帯ゲームと連携させた大型筐体やカードゲーム・コインゲームなど、同社が打てるテはあるでしょう。
 まぁ、同社としては、アーケードのノウハウを時間をかけて熟成させる方向のようですし、長い目で見るべきでしょうネ。

 さてその後、2003年を底に国内ゲームソフト市場は下げ止まり、徐々に回復傾向を示すようになりました。2006年には、任天堂DS(2005年12月発売)をはじめとする新ハードの普及が始まり、市場規模が拡大しました。カテゴリー・オンリー・ワンとなった同社にとっては、非常に快適な環境となったワケです。一方で既存シリーズの移植に頼る商品展開で、中長期的な成長エンジンが見当たらない状況です。そうなると、近い分野に手を出して成長を図るというモチベーションが生じるのは、自然なコトでしょう。
 そこで直近の競合図を見ると……テクモ、コーエー、ハドソンあたりが、美味しい買収対象に見えてきませんか?
 実際、同社はテクモに対して手を出した(2008年8月28日 TOB提案)のですが、テクモはコーエーと手を結ぶコトで、コレをはねのけてしまいました(同年9月5日 同社提案撤回)。実は今回のエントリで「テクモかコーエーに手ェ出すんぢゃないの?」と書こうと思ってたんですが、先を越されてしまいまスた。それどころか決着までトットと着いてしまったワケで…お笑いですナ orz
 一方ハドソンはコナミの子会社であり、手を出しづらい対象です。
 現在のところ、テクモやコーエー以上に合併効果が期待できる、買い易い対象はなかなか見当たらず、M&A戦略は手詰まりと言わざるを得ないでしょう。資本提携・事業提携への機動的対応を目的として持株会社化を予定していますが(2008年10月1日実施予定)、具体的案件がすぐに出てくるかは、チョっと疑問です。ミドルウェアの会社を買うとか、ネットゲームインフラの会社に手を出すとか、受託開発会社との提携を深めるとか、選択肢はいくつか考えられますが、成長に向けて即効性のあるモノは、現時点では考えられません。
 当面は、FF/DQ両シリーズに続く目玉商品の模索や、漫画・アニメコンテンツの世界展開など、即効性は求められないケド真っ当な戦略を継続するコトで成長を図ることになるだろうと思います。

2008年8月31日日曜日

もうチョッと、付加価値連鎖。 +α

 前回は2種類の製造業における企業間バリューチェーンについて述べましたが、今回はもっと単純なバリューチェーンについて、少し語ってみたいと思います。
 ソの対象は、流通業です。商品の場所の移動が繰り返される毎に、付加価値=マージンが乗っていくワケで、製造業の垂直分業におけるソレより単純ですょネ。

 日本における流通の特徴は、その過程の複雑さです。生産者から消費者に届くまで、複数の中間事業者を通ります。代表的なモノが、生鮮食料品等の卸市場システムです。
 これに対して、欧米の流通は単純です。生産者と小売が直結しています。その間を、仲介業者(Agent)が仲介する形態が一般的です。
 んぢゃあ、どっちがイイか、つーても一概に結論付けられるモノではありません。単純に考えると、中間マージンが無い分、消費者にとっても小売にとっても生産者にとっても、欧米型流通の方が良さげに見えるのですが……

 消費者にとっては、絶対的な価格の安い方がイイというのはもちろんなのですが、それ以上に、急激な価格変動があると困る、つートコロがあります。給与所得には硬直性がありマスから。
 で、急激な価格変動が生じると、石油ショックのトキのトイレットペーパー獲得合戦の様なコトになってしまいます。直近のような、急激な燃料・原料価格高騰があった場合、欧米型流通システムだと、その影響が小売価格に直結します。
 これに対して、日本型流通システムにおいては、各流通主体がマージンを削るカタチで、出荷価格の変動を抑えようとします。その結果、消費者価格の変動が、相当抑えられます。テレビのニュースで、日本にいる外国人が「母国ではもっと価格上昇が激しい」つーてるのを見たヒトも多いでしょう。 試しに消費者物価指数の日米比較をしてみると……昨年(2007年)後半来の物価上昇局面において、確かにアメリカの方が日本より大きく物価上昇している月が多いですネ。

 それ以上に卸システムが機能するのが、流通業自体にとって、です。かつての流通システムは、図の例(農産品)で言えば、零細農家及び共同出荷団体としての地域の農協と小規模小売店(街の八百屋サンですネ)を繋ぐモノでした。そうした状況下で流通を合理化するためには、卸市場システム(卸市場において卸業者を介して商品が流通する仕組み)が有効でした。商品取引が集中するコトで、単位あたり流通コストは下がりますし、価格形成は公正化されますからネ。
 また、同一商品の在庫が流通過程の各企業に分散されるコトによるメリットもあります。例えば小売店では、同業同士で商品の融通が行われるコトもありますし、特定商品を複数の卸から調達するコトもあります。流通在庫というバッファが、品余り時の吸収余力にも、品不足時の供給元にもなっていると言えます。多層的な卸システムによって、個別の販売主体における在庫の極小化が為されているという考え方も出来るでしょう。

 もちろん、デメリットもあります。最大のモノは、上記の通り、マージンを取る中間事業者の数の多さによって、消費者にとって絶対的な価格水準が上がってしまうことですが、ソレだけでは無いと、私は思います。
 昨年(2007年)を通じて、食品偽装問題が世間を賑せました。その主体は、製造小売だったり外食だったり様々でしたが、加工卸業のソレが、最も数多く報じられたように感じます。
 ソの最大の原因は、大手スーパーなどの納品先からの価格引下げ要求に対応しつつ利益を確保したかったという動機だろうと思いますが、最終消費者のカオが見えない状況だったコトが、ソレに歯止めがかからなかった理由の一つではないかと思っています。
 スーパー等の小売店で起きた偽装については、逆に生産者のカオが見えない(=ドコから来たモンだか分かりづらい)状況から、売っているモノに対して誇りが持てないコトが、その原因の一つではないかと思います。

 そうした日本の流通システムに、変化が生じています。
 小売業の中心が、イオンやイトーヨーカドー等の、大規模小売店になりました。一方で、出荷団体である農協や漁協の合併が進みつつあります。この変化は、卸市場システムにおける、取引集中の意味を低減させます。
 そうした状況を背景に、卸市場を通さない、市場外取引が増えています(市場取引率が低下しています)。燃料・原料価格の高騰を背景とした中間マージンの排除のために、その傾向は加速するだろうと思います。
 最近でも、イオンが近畿・関東・東北の漁協との直接取引を始める方針を発表しましたネ。また、小売業者が個別農家と、契約農場のようなカタチで直接契約するケースも増えています。

 こうした変化は、小売店にとっては在庫リスクの増加をもたらします。よりシビアな需要予測が求められるでしょう。
 一方、生産者側の課題は、規模の拡大です。農協や漁協の合併が進んでいるとはいえ、そのセリング・パワーは、大手小売業のバイイング・パワーに対して脆弱と言わざるを得ません。より大規模な合併や、企業化の推進といった施策が重要になってくるでしょう。一次産業の企業化は、食料自給率向上策の一環として取り上げられるコトが多いのですが、バリューチェーン的な考え方からも、これを推進するコトが求められると言えます。


 さて、その食料自給率向上策ですが、最近取り上げられるようになったのは、やはり燃料・原料価格高騰による食料価格高騰がキッカケです。投機資金の流入やバイオエタノールへの穀物利用の拡大が原因として挙げられていますが、ソレらが一段落付いても、状況が大きく変わるかどうかは疑問です。世界人口の増加が続く上、新興国における食の欧米化の影響も無視できなくなってくるおそれがあります。食料自給率の向上は優先度の高い課題だと、私も思います。

 だいぶ前にWBSでUFJの五十嵐サンが「自給率を上げるには、肉と油を摂る量を減らして、その分コメを食べればイイ」とおっしゃっていたのが印象に残っています。ですが、さすがにコレは極論で(翌日、千葉商科大の斉藤センセも「元に戻すのはムリ」とおっしゃってましたがw)。タマには肉をガッツリとイきたいですょネ。
 とはいえ、食の主役はやはり農産物なワケで(酪農部門でも飼料が必要ですし)。まずは農産物の自給率向上が重要ですょネ。
 日本の農業が成り立たないのは、やはり、個別農家による小規模経営で、単位コストが高いコトが一番の原因でしょう。後継者不足も深刻化してきていますネ。
 コメとか小麦とか大豆とか、大量に必要とされる、生活の基盤になる食材については特に、企業の参入を促進して、生産コストを下げつつ、事業の継続性を上げるコトを考えるべきだと思います。
 地方の仕事にアブれたゼネコンを農業企業に転換すれば、雇用拡大(ひいては少子化対策)にもなると思うんですが、どうでしょう。元々、農家の次男以下の方々とかが地方ゼネコンの主戦力だったこともありますし、この転換には、大きなムリは無いだろうと思います。実際、そうした転換の事例も増えているようですし。つーか、建設業における倒産数が増加する状況下、行政府の支援でその転換を加速した方がイイんでないですかね。とりあえずは株式会社形式の農業法人による農地所有の制限緩和(イキナリ解禁は問題ありそうですが)とか農業生産法人の構成要件緩和とか。ツイでにこぅした策は、与党の票田対策にもなるんではないですか?w

 ただ、農業生産を拡大すると、コメ余りの加速が危惧されます。作るだけではなく、売る側にも工夫を講じる必要があります。パンや麺類などへの米粉利用拡大とか、企業参入促進によるコスト削減→価格引下げをヤりつつブランド米の輸出拡大を図るあたりが、まず取り組む課題になるんでしょうが……
 ワタクシ的には、米を原料とした生産物である日本酒の海外進出なんかは、考えて欲しい施策だったりします。まぁ、米の種類が違うワケですがw ただ現在は、税制とか相続とか商圏とか厳しい制限が多く、酒蔵や酒販業者による輸出拡大は、あまり現実的ではありません(宝酒造アメリカ工場製の日本酒がカナダで売られるなんつー、例外的な事例はありますが)。一時的な税収減を招くおそれがあるため、所轄官庁はそうした制限の緩和には積極的に取り組んでくれません。ソコはちょっと考え直して、日本文化の普及促進も絡めてやれば、外国からの観光客誘致にも、ヤりようによっては資本誘致にも繋げるコトができると思うんですが、どうでしょう。輸出増加でトータルの販売量が増えれば、結果として酒税収入も上がるでしょうし。オマケに、酒米は炭水化物含有率が高いそうなので、バイオエタノール原料としても使えないかなぁ、とか思ったりw

 ただ、いずれにしても、中長期的な方針をある程度定めた上で実現化する方向で進めないと、実現できるものではありません。変化の激しい昨今、さすがに「国家百年の計」はムリですが、例えば1年・3年・5年の短期~中期の目標や10年・30年といった長期のガイドラインを定めて、それを実行策にブレイクダウンする形にシフトすることが必要です。そうした目標を一般に公開するようにすれば、国民の理解も得易くなるでしょう。現在叩かれている年金・保険政策のようなコトも、少なくすることができるだろうと思います。
 もちろん、一度設定した目標を金科玉条のように奉るのはよろしくないワケで、それこそ常に見直しを加えていく必要があります。ただ、一般企業はそうした経営計画策定や目標の設定及び見直しをフツ~にやっているワケで(大手企業は公開もしてますし)、優秀な人材が揃っている政府や行政機関が出来ないワケは無いだろうと思うんですけど…
 政府の「骨太の方針」も、最近では数値ベースの明確な目標を提示しなくなってるし、もうちょっと分かり易い形にして欲しいものです。

2008年8月21日木曜日

二つのバリューチェーン

 今回のタイトルの「バリューチェーン(価値連鎖)」とは、経営学の観点から企業活動を捉える概念の一つです。
 そこではまず、企業活動を主活動と支援活動に分けて考えます。支援活動には、全般管理(インフラ)・人的資源管理・技術開発・調達活動が含まれます。主活動を更に、購買→製造→出荷→販売→サービスという一連の過程に分けて考えます。
 この全体がバリューチェーン・モデルなのですが、ここでは「企業活動を、複数の付加価値を生み出す過程が一連の流れを為すものとして捉える」位に考えて下さい。

 バリューチェーン・モデル自体は個別企業の経営モデルであり、主活動を構成する各要素の効率化が、企業の競争力向上に繋がると見るものです。
 しかし、多層的な階層構造をとり、最終ユーザーに到るまで複数の企業を介するような産業(要は垂直分業体制にあるトコですネ)では、企業間取引において、バリューチェーン・モデルに準じた考え方が適用できると、私は考えています。
 ですから私は、かつてIPOアナリストとして取材させて頂いた未上場企業サンのうち、それが適用できるような状況にあると思しき相手には、営業戦略として「直接顧客の一つ先にアプローチしましょう」とか「最終顧客の二つ手前にあたる企業に訴えかけましょう」とか提言するカタチで、バリューチェーン的な考え方をするコトをアドバイスしてきました。
 まぁ、大概の企業サンは直接顧客に対応するのが精一杯で、そうした提言を受け入れられるトコは極めて少なかったようですけどネ。

 さて、過去に数回のエントリを費やして扱ってきた電機業界では、部品(PARTS)→機能部品(DEVICE)→最終製品(SET)という多層構造が成り立っています。
 かつてはSETメーカーとしての総合電機及び総合家電企業による系列化等のカタチで、その多層構造が垂直統合される方向にありました。これに対して、ここ十数年来の動きとして「脱総合化」の動きがあるコトを、以前のエントリで述べました。
 従って電機業界においては、企業間バリューチェーン・モデルが成り立つのではないか、という仮定を立てるコトができます。

 ところで電機業界では、バリューチェーンにおける付加価値の源泉に関して、ある特徴が指摘されています。「スマイルカーブ」と呼ばれるモノです。
 スマイルカーブ自体は、台湾Acer社の創業者サンによって提唱されたもので、PCメーカー単一企業あるいは当該企業グループを想定したものと考えられます。ココでは、主活動を企画→部品調達→製造→販売→サービス(メンテナンス等)に分けて捉えます。そして、縦軸を各過程の付加価値とし、左側が上流、右側が下流という流れに各過程を配したグラフを描く場合、笑ったトキの口のようなカーブになるとされます。
 PCは電機業界の中でも主要な部分となっており、また、脱総合化の過程で行われた標準化によって、他の機器も含めた電機業界全体が、近い性格を持ち合わせているコトが想定できます。もしソレが正しければ、電機業界における企業間バリューチェーン・モデルでスマイルカーブが描けるコトになります。

 そこで、電機業界に関わる企業の付加価値率(ココでは経常利益率)を縦軸とし、横軸に電機業界に属する各企業を、左に上流、右に下流という形に配して、グラフを描いてみます。またココでは、業態の流れを上流から基礎技術→部品→製造→販売としてみました。
 チョっと前の業績を元に、このグラフを作ってみると、まぁ大体、スマイルカーブを描けていると言えるでしょう。実はコレ、若者に経営戦略論を教えるトキの小ネタの一つに使っていましたw
 ちなみに直近(2008年8月20日現在を基準)の業績を使ってグラフを描いて見ると……携帯電話技術提供企業の業績悪化と赤字SETメーカーの「選択と集中」による業績回復で、大分フラット化されてはいますが、一応スマイルカーブに見えなくもないかな。
 とりあえずは、電機業界の企業間バリューチェーン・モデルを否定するコトはできない、位は言ってよさそうです。

 この状況から、最も付加価値の低い製造工程の企業がどうすればソレを上げるコトが出来るか、という課題が見えてきます。
 単純に考えれば、両側に位置する、より付加価値の高い部分を取り込むコトです。具体的には、直販化と部品の内製化ですょネ。
 直販化は、ネット販売のカタチで各メーカーとも取り組んではいますが、主要販売網の一つとはとても言えない状況です。量販店との関係もありますので、積極的に拡大するコトは、かなり難しいでしょう。
 一方、部品の内製化については、最近になって各メーカーが積極的に進めてきたモノがあります。薄型テレビにおける、パネルの内製化がソレです。
 薄型テレビにおけるパネルの内製化については、いくつかの要素で語られています。

  • 需給の問題~完成品(SET)であるテレビの需要の伸びに対して、機能部品(DEVICE)であるパネルの供給が足りない。
  • 価格の問題~テレビSETのうち、パネルDEVICEの価格が占める割合が最大であり、SETの価格決定要因として大きい。
  • 差別化の問題~テレビSETの差別化要素である画質に対して、パネルDEVICEの影響度が大きい。
等といったところですが、バリューチェーンの考え方からも、ソレを説明できるというワケです。

 さて、コレと同じ分析を、産業ピラミッドのもう一つの頂点である、自動車業界でやってみると……スマイルカーブは描けません。
 電機業界との違いとして最も目立つのは、SETメーカーの優位性ですね。
 これは、標準化が進んでいる電機業界と異なり、自動車業界がいわゆる「擦り合せ型」産業であるコトが大きく影響していると思われます。SETメーカーが仕様を決定し、系列下の部品メーカーがソレに沿った部品を作る。スマイルカーブにおける、高付加価値の「企画」機能を取り込んでいるコトが、自動車業界においてSETメーカーの付加価値が高い原因という説明をするコトができます。
 問題は、いつまでその状況を維持できるか、というコトです。

 自動車業界は、二つの大きな課題に直面しています。一つは発展途上国での普及拡大、もう一つはガソリン内燃機関から次世代技術への移行です。
 発展途上国における普及拡大は、先進諸国の景気減退によって、自動車メーカーにとって、より重要になっています。ただ、それを促進するためには、価格を下げて販売量を増やすコトが必要です。そのためには、電機業界が進めたような標準化が、ある程度必要になってきます。
 発展途上国の中でも市場拡大期待が大きいのがインドと中国なワケですが、後者では既に、地場の小規模メーカーが多数乱立している状況です。そうした状況を背景に、自動車部品の国産化という国策も相まって、自動車産業の標準化が進みつつあります。同一規格のエンジンを複数メーカーが生産するようなコトが、始められています。部分的にではありますが、自動車産業の「組立型」化の方向性が見え始めています。そうした変化が進んだ場合、SETメーカーである自動車メーカーの得る付加価値が下がってしまうおそれがあります。
 以前述べたように、自動車には大量生産品としての方向性と嗜好品としての方向性があるワケですが、コスト効果が重視される業務用車両(トラックとか商用バンとか)では前者が重視され、標準化による組立型産業化の方向に向かうのも止むを得ないかな、と私は思います。
 また、次世代技術への移行は、電気自動車に対応するための充電施設や燃料電池車のための水素ステーション等が必要となる、社会インフラ全体に影響を及ぼすモノです。この大掛かりな変化は、自動車メーカーが単独で対応できるものではありません。複数の業界を巻き込んだ統一規格を策定するカタチでの、標準化の推進が必要でしょう。
 こうした状況下で、日本の産業の牽引役の一つである自動車メーカーが、如何にして差別化を図るかという点は、注目に値すると思います。

2008年7月31日木曜日

ヤマダ電機よ何処へ行く?

 北京オリンピックを目前に控え、薄型テレビ商戦が続いています。私も買っちゃいました。日立の37インチ薄型液晶。私がソイツを買ったのは上新電機のネット通販なんですが、今回はソコではなく、同業で代表的な企業つーか最大手のヤマダ電機(以下「同社」)を取り上げます。

 同社は現在、総合小売の大手二社(セブンアンドアイとイオン)に次ぐ売上規模を誇る、専門小売としては最大手の企業です。特筆すべきは、その成長の早さです。ここ10年間で、売上が7倍以上、利益(経常利益ベース)が12倍以上になりました。

 小売の成長モデルとしては、大きく分けて二つの方向性があります。一つは売る場所を増やすこと、もう一つは売るモノの種類を増やすことです。
 前者の方法には、店舗の数を増やすのと、個々の店舗を大型化するものがありますが、大概は両方とも進めていきます。尤も、既存店舗の拡張には限界がありますので、新規店舗として、より大型の店舗を出店するのが一般的です。結果として、まずは店舗数を増やすことが、小売業における基本的な成長戦略となります。
 同社の場合を見てみると、売上増と店舗増がキレイにリンクしていることが判ります。結構高い相関性を持って、出店増による売上拡大を実現しています。とはいえ、ドコでもどんどん出店していけばイイかというと、もちろんそういうワケぢゃない。

 小売屋サンをちょっと調べてみると、その超ドメスティックさに気付きます。同じモノを売るんでも、東京の学生サンに売るのと大阪のオバちゃんに売るんぢゃあ、同じヤり方でウマく行くハズがない、つーコトですな。
 同社の場合は、事業のスタートが群馬なコトから、関東エリア及び隣接する中部エリアが得意なトコです。2000年3月期には、店舗数・売上共に70%以上が両エリアのものでした。その後、出店やM&Aによってその他のエリアでの店舗を増やしたとはいえ、2007年3月期に到っても、両エリアで店舗数及び売上の過半を占めています。特に、関東エリアの占める位置付けが依然として高い点が目立ちます。しかし、これまでの出店戦略は、限界に近づいています。

 同じ商品を扱う店舗が近くにあった場合、顧客の取り合いになります。もともとの同社の出店戦略は、他社既存店のそばに、より大きな、品揃えの良い店舗を作って、ソコのお客さんを奪ってしまうというモノでした。他社との競争ならまだよいのですが、店舗が密集してしまうと、自社店舗同士での顧客の取り合い(カニバリゼーション)が生じるおそれがあります。
 私はさいたま市南部在住なのですが、ウチからクルマでちょいと行ける範囲に、同社の店舗が5つありますw 既に「カニバリ★上等」な状況と言えるでしょう。この地域には同社以外にも、でんきちやらコジマやらケーズやら、同業他社の店舗が数多くあります。さすがに、飽和状態と言わざるを得ません。
 それでは周辺地域に行けばイイかというと、今度は地域人口が少ないので、出店効果が下がってしまいます。関東以外の地域では、そのエリアを得意とする電器屋サン(中部・中国地方のエディオンとか、関西の上新電機とか)との競合が生じます。
 また、ガソリン価格の高騰で自動車利用の減少傾向が出てきており、郊外の幹線道路沿いに出店する「ロードサイド型」の戦略を取って来た同社や同業他社には、逆風が吹いていると言えます。

 そこで注目されるのが、いわゆる「都市型店舗」の展開です。上記のロードサイド型に対して、主にターミナル駅の徒歩圏に出店するのが、都市型店舗です。ただ、カテゴリー分けされているというコトは、既に当該分野に競合他社があるワケで。カメラ屋さん出自の、ヨドバシカメラやビックカメラ(以下「ビック」)等が、コレにあたります。ここでも同社は、池袋や高崎でビックの目の前に都市型店舗「LABI」を出店して、ケンカ売ってますw

 とはいえ、同社が得意なロードサイド型と、ビックみたいな都市型では、チョイとビジネスの有り様が違います。ソレが端的に現れているのが、商品群別売上構成。電器屋サンの成長が、PC及び携帯電話の普及や、その後のAV家電のデジタル化による代替を背景としてるため、AV機器が結構な割合を占めてるのは同じなのですが、それ以外がチト違う。
 ロードサイド型だと、週末にクルマで乗り付けた家族が、冷蔵庫とかエアコンとかの白物家電を買ってくイメージ。一方の都市型は、単身者がノートPCとか携帯電話を買って、ソレ持って電車に乗って帰るイメージで捉えると、大体合ってるんでは無いかと。
 また家電以外の部分も、ビックのソレは同社のソレの倍以上の比率を占めています。例えば有楽町ビックにはゴルフ用品売り場があって、平日の昼間からおぢさま達で結構賑わってたりする(私が立ち寄ったトキにたまたまそうだったのかもしれないスけど)んですが、同社にソレをすぐヤれつーても、無理というモンでしょう。
 後発の同社が、中心顧客層の違いから生じる、売りモノの違いによる売り方の違いをフォローアップするには、ちょっと時間を要するんではないでしょうか。それから、都心部だけに土地確保の問題があって、コジマとかラオックス相手にうまくいった「後からもっとデカい店を出す」テが使いにくいのも、同社にとってはツラいトコですね。

 私自身はLABI池袋には行ったコトはないのですが、LABI新橋は行きました。ちょっと前に、とある金融機関に面接に行った帰りに(ソコは2次面接でハネられちゃいましたorz)寄ってみたんですが、あんまりパッとしないなぁ…つーのが第一印象。LABIなんばの苦戦も伝えられていますし、もし機会があれば「ぶっちゃけLABIどうョ?」つーのは訊いてみたいトコですねぇ。

 というコトで、従来の成長戦略は壁にぶち当たりつつありますし、都市型店舗展開をウマくやるには、もうちょっと時間がかかりそうです。そんな中でも、高成長を背景に外人サンの持ち株比率が高まっちゃった同社としては、ソレが売られるのを防ぐ意味でも、継続的な成長戦略が必要なワケで。必然的に、二番目の成長戦略である、売りモノの種類を増やすコトを考えることになります。
 最近では自動車販売への参入なんゾを発表して話題になったりしてマスが……私としてはその前に、既に買った会社のリソースの有効利用を考えた方がヨカったんぢゃない?とか思ったりします。

 自動車をロードサイドの電器店で売る、つーコト自体は、悪くない発想だと思います。来店する顧客はクルマで来るワケで、その時点で自動車販売の潜在顧客。価格面での優位性が重要なのはもちろんですが、それ以外に、駐車場なり屋上なりで複数メーカーの同ランク車を比較試乗できる、とかの差別化要素を打ち出せればイイ。ついでにカーオーディオとかカーナビなんかのアクセサリ電機類も合わせて売れば、もっとイイ。ですが、既存店でソレをできるトコは少ないでしょう。新規店が中心になるんでしょうが、出店限界が近い上に自動車利用自体が減少傾向にある状況下では、成長戦略としての有効性には疑問符が付きます。ソレよりも、都市型店舗での取り扱い商品の差別化が効くんではないかと思うんデスょ。
 その意味で、2007年9月に、キムラヤセレクト(以下「キムラヤ」)を同社が買収したコトには注目してたんですが…。

 ブランド物の衣料品やバッグ・アクセサリを扱ってたキムラヤは、電器店の業態転換としては成功例だったと思います。携帯電話の近くにブランド物のネクタイが置いてあるのは、面白い空間でした。ケータイの様なライトな電気製品とブランド物って、購買層がかなりかぶると思うんです。商品の選択基準でカタチだったり色だったり手触りだったりが優先度高い点も、同じですょね。例えば、ブランドスーツの展示用マネキンの首からストラップでケータイ下げて展示するとか、PRADAのバッグとPRADA携帯を組み合わせて売るとかがあっても面白かったんじゃないでしょうか。まぁ実際は、ブランド物の取り扱いは縮小する方向のようですが。
 また、キムラヤにはドラッグストア部門もあります。電機の中でも衛生・美容・健康用品と合わせた売り場展開なんかも考えられたんではないでスかね。

 それから、2002年に買収した、ディスカウントストアのダイクマのノウハウも、使わないともったいないでしょう。電気製品だけであれば取引先は限定的で、これまで同社が伸びてきた一因である、パワーゲーム(ココでは、大量販売を背景とした、仕入先との値下げ交渉)を通じた原価低減でイけます。しかし、多品種展開をするなら、そうはイかない。バイヤーの育成とか問屋との関係構築とか、ヤらなきゃいけないコトはいっぱいあるワケですが、ソレってダイクマでは既にヤってるハズですよね? ロードサイド店で多品種展開するなら、自動車よりも、例えばインテリア家具(確かダイクマで扱ってたと思うんデスけど)なんかの方が、親和性は高いでしょう。それ以外にも、食品類の売り場で調理家電をデモする、なんつーのもアリかもしれない。

 ……などと、その可能性についてイロイロと考えるコトは出来るんですが、いずれにしても、予想にすらなってません。
 株価のリカバリーもインデックスより大分遅れています(2008年7月末時点)し、同社自身が新たな成長戦略をアピールするコトが、そろそろ必要なんぢゃないですか?

2008年6月19日木曜日

三洋電機の憂鬱 +α

 前々回は電機セクターのうち、勝ち組企業(三菱電機)を取り上げましたが、今回は負け組企業を取り上げます。

 電機セクターの全ての分野を扱う総合電機以外にも、電機メーカーは数多くあります。重電では富士電機や明電舎、産業分野では空調のダイキンやロボットの安川電機、情報機器ではNECや富士通、半導体の京セラやロームなどなど…
 それらの中では、薄型テレビやデジタルカメラなどデジタル家電のコモディティ化で、民生部門の収益が悪化しています。その影響を蒙った企業としてはパイオニアや日本ビクター等が典型的なのですが、その中で今回は、三洋電機(以下「同社」)にスポットをあててみましょう。

 民生用電機すなわち家電分野で代表的な企業は、白物を含めて幅広い分野をカバーする「総合家電」の松下電器産業と、AV機器を中心とするソニーの二社です。その下に総合家電の同社とシャープが続き、更に下位にAV機器メーカーのパイオニアや日本ビクター、ケンウッド等が位置します。
 下位グループに負け組企業が多いのは、商品の価格低下で、体力の少ないトコが先にバテているというコトでしょう。同社の場合は、理由はソレだけでは無いですけど。

 子会社減損計上の厳格化を理由として同社は、2007年末に過年度分の決算修正を発表しました。修正は単独分だけだという発表でしたので、連結は時系列比較できるだろうと見てみると……コレが出来ないんデスorz
 同社の決算では、2006年3月期分以降、撤退した事業については「非継続事業」として損益通算して開示しています。前期分も同様の処理をするので、二期分の比較をすることは出来るのですが、中期的に掘り下げた分析は出来ません。
 2007年3月期業績については、同期の決算短信と2008年3月の決算短信で、だ~いぶ違ってきています。2008年3月期には携帯電話事業を京セラに売却しました。当該事業は、同社の中ではカナ~り、大きなものであったと推測されます。コンシューマ部門の売上計上減少分がすべてソレだと仮定すると、(1,017,682-684,595)÷2,215,434で、ざっくり15%。こりゃデカい。これだけデカいモノを無視して、時系列分析するワケにはいきません。

 時系列がダメならセグメント別で、と考えてみても、それも出来ません。例えばコア事業として位置づけられるコトになった半導体事業の状況を見ようとすると……コレも分かりません。半導体事業はコンポーネント部門に含まれますが、その内訳は開示されていません。

  • 2006年3月期:「半導体では、新潟県中越地震の影響から新製品開発が遅れ、顧客からの受注が震災前の水準まで戻らなかったことにより、売上は減少した」

  • 2007年3月期:「半導体は、製品の選択と集中などこれまで進めてきた構造改革の結果、売上は減少した」

  • 2008年3月期:「半導体は、市場環境の悪化と価格下落の影響により、売上が減少しました」

と、状況を極めて簡易にw説明しているのですが、これでは何も分かりません。ファクトブックではもう一段細かい区分による開示になっているのですが、それでも「電子デバイス」という区分で、半導体と一般電子部品がまとめて扱われていますし、何より直近期の情報が分かりません。
 まぁ、セグメント情報が細かくないのは、同社に限ったコトではないですけどネ。

 というワケで、現時点で同社を分析しようという試みは、憂鬱な結果になってしまいマス。ファンダメンタルズを見て同社への投資を判断するには、非公開情報が手に入る立場にないと無理ですねぇ。

 さてこの様に、業績情報の開示という面で憂鬱な同社ですが、業績自体も、置かれた環境も、経営組織の問題も、何れ負けず劣らず憂鬱です……というのが今回のお題w
 有価証券報告書や決算短信に記載されている業績の時系列推移で、同基準で評価できるのは売上高と当期純利益だけですが……かつて同社とほぼ同格であったシャープと比べると、その差は歴然です。
 依然としてデジタル家電の急激な価格低下が進む中で、同社が得意とするコンパクトデジカメは特に、アジアメーカーの低価格製品との競争に晒されています。機能や性能での差別化の訴求力は弱く、収益の改善は困難です。コンデンサや洗濯機など、個別プロダクトで優位にある商材はあるのですが散発的で、全体としては商品力の低下が続いています。一方で、新潟地震の影響、経営陣の交替、提携戦略の混乱など、経営は迷走を続けています。電池や洗濯機などで、製造不良の問題も注目を浴びてしまいました。この状態から同社を立て直すのは、一朝一夕には行かないでしょう。

 こうした状況下、同社に手を差し伸べた、いや手を出したのが、ゴールドマンサックス証券(GS)、大和証券SMBC、三井住友銀行の金融三社です。2006年3月に優先株の形で出資したのですが、もちろん慈善事業ではなく、目的はソレによる利益です。

 投資銀行やファンドといった、金融機関による対企業投資案件の仕上げ(エグジット~exit)には色々あるのですが、最終的には保有株式や債権等の金融資産ないしは投資対象企業の保有資産や事業等を売却して、投資資金を回収します。
 投資先が成長企業であれば、放っておいても株式が値上がりし、利益が発生します。しかし問題企業の場合には、何がしかの手を打たないと収益を生みません。代表的なものが、経営者を送り込んだり顧客を紹介したりして事業を建て直すコトで投資対象企業の価値を上げる、いわゆる「再建」です。そうでない場合にはそのママ他者に売却するのですが、買ったものをまるごと売却しても利益が出るコトは考え難いので、売り方に工夫が必要です。そのひとつが事業分割等による切り売りです。「仕入れた魚を売るのに、一尾まるごと売るより切り分けて売った方が高く売れる」なんて言い方をされたりします。

 金融三社が支援に入った時点で、エグジットは切り売りだろうなぁ、と感じました。残るのは、三洋電池(仮称)+三洋オートモーティブ(仮称)+α程度かなぁ…とか。同社の状況は前述の様にgdgdですし、1980年代のアメリカにおけるLBOを用いた企業切り売りの流行を経験しているGSが入るとなれば、そう感じるのも不自然ではないだろうと思います。
 実際、2007年には半導体事業の売却が話題に上りました。結局うまく行かなかったのですが、いまだに不思議に思うのは、最後まで同事業の一括売却にこだわった点です。まぁ確かに、一括売却出来れば、投資した金融三社にとっては、楽に儲かるコトにはなりますが。金融三社の担当者があまり半導体に明るくなかったのか、GS内部に蓄積されているであろう企業分割のノウハウを日本側で利用できなかったのか、原因は分からないですけどね。

 「半導体」と一言で言っても、その範囲は非常に広いのですが、同社の様な電機メーカーが扱うのは、半導体を用いたICやトランジスタなどの電子部品(Parts)や、ソレを組み合わせた機能部品(Device)です。最終製品に使われてナンぼ、なワケです。だからこそ、以前のエントリで述べたように、かつての電機セクターにおいて「総合化」の意味が大きかったのですが、それも今はムカシ。
 で、同社の半導体製品はどぉかというと……三洋半導体のWebページを見ても、「幅広くヤってますねェ」くらいしか分からない。とはいえ、同社の最終製品で主要なモノというと、まず洗濯機とデジカメなワケで、それらを中心とした商品を頂点とした産業ピラミッドを支える製品群が主力であろうと推測されます。
 コレをまとめて売ろうと思うと、その相手は限られます。事業会社であれば、洗濯機=白物家電とデジカメ=デジタル家電の両方をヤってるトコ…総合家電や総合電機です。半導体全般を扱うメーカーも対象になりますね。あるいは、そういうトコロに売却するコトを前提で、ファンドや投資銀行。話題にのぼったのは、ロングリーチやアドバンテッジパートナーズといったファンドでしたね。それがダメとなったら一転、「半導体はコア事業」と言い出した変り身の早さは、見習うべきかもしれませんがw
 ただ、ソコであきらめてしまわずに、もっと細かく分割して、事業会社に売却するコトを考えた方がヨカったんではないかなぁ、と私は思います。例えば製造と販売とか、適用する最終製品の種類別とか、分け方はいくつもありますが、細かく切り分けた方が個々の売却金額は下がり、買収可能な企業が増えます。そうすれば、M&A実現の可能性も上がりますし、競合となれば価格も上がるでしょう。撤退してしまった有機EL事業だって、個別売却に出せば、買ってくれるトコロはあったんではないでしょうか。

 金融三社の出資から2年が過ぎ、そろそろ資金回収を本格的に考え出す頃でしょう。特にGSは足元のアメリカがおぼつかない状況なので、ココでの収益は最大化したいハズだと思います。携帯電話事業の売却で多少はリターンを受けたでしょうが、まだまだ足りないと考えているでしょうね。いずれは、電池事業や自動車関連製品事業の売却を打ち出してくるのではないでしょうか。そうなると、金融三社が手を引いた後、同社の成長戦略が描けなくなってしまうおそれがあります。

 同社の憂鬱は、まだ続きそうですね。


 ところで私が前回のエントリをアップロードした日(6月2日)、楽天がCS放送子会社の楽天TVをオリックスグループに売却してしまいました。TBSに対するアクションも見られなくなってしまいましたし、ど~やらメディア企業としての活動は縮小方向に向かっているようです。ネットユーザーのテレビ離れの進行や権利保護制度の混乱など、かつてよく言われた「ネットとテレビの融合」が進む気配すら見えない状況下、仕方のないコトかもしれませんが…メディア企業としての楽天に期待していた私としては、ちょっとガッカりです。

 それからチト古いハナシ(5月12日付け発表)ですが、古川電工が文書作成にOpenOffice.org(OOo)を採用することにしたそうですネ。よくまぁ、思い切ったコトをしたモンです。このblogではMSのOffice PersonalとOOoのプレゼンツールを使ってるんですが、後者の使い勝手はパワポに遠く及びません。提案用プレゼンを作る部署がヨく受け容れたモンだと思います。
 とりあえず6月3日に公開されたIBM版OOoであるLotus Symphonyをダウンロードしてあるので、次回はソレを使ってみるつもりです。あと、もぅちょっと経てばOOoの新バージョン(3.0)がクルはずですが……少しは良くなってるとイイなぁ。

2008年6月2日月曜日

株価についての、よしなしごと

 前回初めて、このblogで株価について触れました(チョットですけどw)。今回はそれに関して、うつらうつらと考えたコトを、徒然なるままに書いてみます。

 そもそも株価とは何でしょうか。理念的なものから卑近なものまで、色々な捉え方が為されています。その中の一つに、会社(の一部)に付いた値段、というものがあります。それに発行済み株式総数を掛ければ、会社全体の値段=時価総額となります。まぁ、実際その値段で買収されるコトは少ないんですけどね。時価総額は、いわゆる「企業価値」と呼ばれるモノの代表的なものです。


 一言に「企業価値」と言っても、それは対象企業との関わり方によって様々です。顧客から見た価値、従業員から見た価値、取引銀行から見た価値、納入業者から見た価値……それらはそれぞれ異なり、かつ流動的です。
 それらの中で時価総額は、情報としてオープンであるコトと評価者の数が多いコトが大きな特徴です。そうした要因から、時価総額は「企業価値の最大公約数(≒共通認識)」的なモノと言えると思います。
 そうであるからこそ、時価総額あるいは株価を、他の要素で説明する指標が、古くから数多く生み出されてきたのではないでしょうか。PER・PBRから、QレシオやPSR、EV/EBITDA等々…

 また、株価を予想する「モデル」も多く作られています。直近までの株価上昇期には、DCFやEVAを用いた、いわゆる「理論株価」が注目を浴びました。
 これらのアプローチは、事業が生み出すキャッシュフローや付加価値の積み重ねを現在の価値に割り引いたものを「事業価値」と捉えます。そして、事業価値と金融資産価値の合計を企業価値とし、それが時価総額とイコールになるという考え方です。まぁ試しにはじいてみると、理論株価が実際の株価より高く出る場合が、結構多かったりします。

 これには様々な理由が考えられますが、想定投資期間の差も、その一つと言えるでしょう。
 DCFやEVAという事業価値モデルでは、企業をGoing Concernとして捉え、無限期間を想定しています。一方、市場で行われる個々の株式投資は、無限ではありません。ある程度の期間にある程度の投資収益を求める、有限期間の行為です。同じモノを扱う上で、無限期間を想定するモデルと有限期間のモデルでは、前者の方が高くなる傾向が出てきてもおかしくない、つーか、その方が自然でしょう。
 但し、その「ある程度」の期間を、投資する時点ではっきりと認識している投資家は極めて少ないでしょうし、仮にそうであっても、後に変更するコトが多いと思われます。モデル化は極めて困難です。株式に対する投資期間に関する調査結果をドコかで見た覚えはありますが、全体に関する調査だったと思います。ソレを個別銘柄に適用するのは、さすがにムリがあります。

 また、投資家が求める期待収益も、把握するコトは極めて困難です。
 おそらく、多くの投資家、特に個人投資家の方々は、明確な収益期待を持って投資を行っているワケではないでしょう。なんとな~く、儲かりそうな銘柄に手を出しているコトと思われます。それでも、その「なんとな~く」には、「銀行預金やMMFよりは多くあって欲しい」とかの、あいまいな形での期待収益概念が含まれているだろうと思うんデスょ。さもなければ、わざわざリスクの高い資産に手を出さないでしょう。

 もし投資期間と期待収益(利回り)を考えるコトができれば、株価は利付債の理論価格と同じように形成されると想定するコトができます。投資期間経過後の理論株価は、その間の期待配当も含めて期待利回りで割引いた現在価値が、現在の株価となるようにすれば求められます。
 問題は上記のように、想定投資期間も期待利回りも分からないコトです。
 無理矢理求めるとしたら、代替要素としては、過去の実績を用いるしか無いでしょうね。投資期間については、取引所とか証券会社(あるいは系列のシステム会社)の扱っている売買トランザクションデータから、個別銘柄について平均保有期間のサンプルが取れるでしょう。配当は直近の実績を使うしかないかな?と思います。対象企業が予想を出していれば、それを使ってもいい。利回りも直近実績を使えばいいでしょうが、安全資産利子率を引いた超過収益率や、DCF法と同様の資本コスト(WACC)を使ってみる手もアリでしょう。色々試算してみて、落ち着きのいいトコロを使えばいいと思います。
 ~てな風にヤってやれば、形式的には算出することができるハズですが……労多くして益少なし、つーか、かかる手間とコストの割りに信頼性の低いモデルになりそうだなぁw

 さて、「ファンダメンタルズ」と呼ばれる企業の経営指標群や様々な経済指標から株価評価を行う職種が、「証券アナリスト」と呼ばれるものです。彼らのレポートでは例えば、「PER×0.5+PCFR×0.3+EV/EBITDA×0.2で見て、目標株価○○○円」なんて書かれたりすることがあります(ココで例示した指標と掛目はテキトーです)。
 なんつーか、理論付けに苦労してるな~、と思います。
 私も15年以上前に就職して以来、延々と「証券アナリストをやらせて欲しい」と会社に訴え続けてたんですが、結局ヤらせてもらえませんでしたorz (まぁ、ソレが退職の一因ではあるのですが)
 でも、最近の当該職種は、私の就職当時とは性格が変わってきているようですね。私が求めていた仕事とは、微妙に違っているような気もします。

 色々述べてきましたが、実際に個人として銘柄を見る上で私が使うのは、結局のところPERだったりしますw なんだかんだ言って、一番長期的に妥当性が高いように感じるんですョ。
 ただ、それがあてはまらなくなるのが、株価の上昇局面です。資金が流入して、PERで説明可能な範囲を超えて株価が上昇する段階になると、他の説明要因が求められます。1980年代後半のバブル期には企業の含み資産が注目され、Qレシオが使われました。2000年前後のITバブル期には、先行投資によって利益をあげられないIT企業を評価するため、PSRが使われました。直近の株価上昇期にはキャッシュフローが重要な評価基準となり、DCF法が理論株価算出に利用されました。
 次の株価上昇期には、どんな指標が使われるでしょうか。それを見つける(あるいは提唱する)金融機関や調査機関が、先行者利益を得ることになるでしょう。